近年、話題になっているDQNネームですが、実は織田信長が子どもに「奇妙丸」と名付けていたなど、昔から意外と珍名が多くあります。
しかし現代では、読めない名前が原因で就活が不利になるなど、深刻な社会問題も発生しているのが現実です。
DQNネームとキラキラネームの違いは何か、歴史的背景から現代の具体例まで、この記事で詳しく解説します。
- DQNネームとは?
- キラキラネームの違い
- DQNネームの歴史
- DQNネームの種類一覧
DQNネームとは?

DQNネームとは、一般的な読み方をしない、奇抜で読みにくい名前のことを指します。1990年代頃から流行し始め、2000年代のインターネットで広く話題になったことから生まれた言葉です。
そもそも「DQN」という言葉自体は、「常識外れ」「教養に乏しい」「ヤンキー」などの意味があるネットスラングから来ています。
そのため、DQNネームという表現には、キラキラネームよりも強い侮蔑的なニュアンスが含まれているのが特徴です。
具体的には、普通の読み方ではない当て字や、英単語をむりやり漢字に当てはめた名前など、社会生活に支障をきたしそうな名前が該当します。
ただし、名前を付けられる子どもには何の責任もないため、批判の対象とすべきではありません。
また、見慣れない名前でも、外国人とのハーフや特別な理由がある名前などもあるため、安易にDQNネーム扱いするのは適切ではありません。
キラキラネームの違いとは?

DQNネームとキラキラネームの最も大きな違いは、名前に込められた感情や意図です。
キラキラネームは比較的中立的で、「輝くような素敵な名前」という意味合いがあります。一方、DQNネームは「非常識な親が付けた名前」という、批判的なニュアンスが強く込められています。
つまり、同じような奇抜な名前であっても、「親の愛情から生まれた名前(キラキラネーム)」と、「常識知らずの親が付けた名前(DQNネーム)」という使い分けがされているのです。
また、DQNネームには「日本語の誤用」「知識不足」「虐待目的」など、深刻な問題になるような名前も含まれる傾向があります。
一方、キラキラネームは読みにくくても「親なりの思いが込められた名前」という前提で語られることが多いのが特徴です。
ただし、各ワードの区別は主観的なものであり、同じ名前でも人によってどちらに分類するかは異なります。
DQNネームの歴史・背景

現代的な意味でのDQNネームが生まれる以前にも、日本には奇抜な名前の歴史がありました。
江戸時代以前
江戸時代以前は幼名・通称・改名が一般的で、成人後に名前を変えることは珍しくありませんでした。そのため、たとえ変わった幼名を付けられても、いくらでも取り返しがきく社会だったのです。
また、当時の庶民にはまともな戸籍がなく、識字率も低かったため、現代以上に名前(通称)が重視されていました。
たとえば、織田信長は自分の子どもたちに、「奇妙丸」「茶筅丸」「三七」などの名前を付けていました。
現代の基準で見れば、確実にDQNネームに分類される名前ですが、当時の社会情勢や背景を考えると、現代とは意味合いが大きく異なります。
明治時代以降
明治時代になると、文豪森鴎外が子どもたちにドイツ語風の名前を付けた事例が有名です。「於菟(Otto)」「真章(Max)」「富(Tom)」など、当時としては珍しい西洋風の名前でした。
鴎外がドイツ語風の名前を付けた理由は、軍医としてドイツに留学した際に、自分の名前を正しく発音してもらえなかった体験から来ています。
「子どもたちには世界でも通じる名前にしたい」という親心からでした。ただし、夏目漱石からは「わかりやすい普通の名前が良い」と批判されています。
同様に、与謝野鉄幹・晶子夫妻もパリで出産したという理由で、「アウギュスト」「エレンヌ」といったフランス名を付けましたが、後に普通の日本人名に改名しています。
現代
現代のDQNネームが生まれる背景には、様々な要因があります。
まず、出産前後のホルモンバランスの変化によるマタニティハイの状態で、冷静な判断ができなくなってしまうケースです。
外国や二次元文化への強い憧れから、その世界の基準で名前を考えてしまうことも多くあります。
また、姓名判断へのこだわり、ペット感覚での命名、個性を重視するあまりの極端な名前、親自身の名前への不満の反動なども、DQNネームが生まれる要因です。
現代社会では、一度付けた名前を変更するのは簡単ではないため、親の一時的な感情が子どもの一生に大きな影響を与えてしまうのです。
【具体例あり】DQNネームの種類

DQNネームはキラキラネームよりも揶揄的な意味合いが強く、読み方に決まったパターンがあるのが特徴です。ここでは、DQNネームの種類について、それぞれ詳しく解説します。
意味のない当て字
DQNネームと言われやすい名前が、当て字を使ったタイプです。外国語や日本語を音だけ合わせて、強引に漢字変換したものになります。
たとえば、「眼蛇夢(ガンダム)」のように、アニメのタイトルを漢字で表したり、「起目粒(オコメツブ)」のように日本語を難しい漢字で当てはめたりします。
画数が多い漢字ほど強いとされる風潮から生まれることが多いです。ただし、「真理亜(マリア)」のように、キリスト教の洗礼名に字を当てたものは、一般的にはDQNネームとは言われません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
眼蛇夢 | ガンダム | 「ガンダム」という言葉の音に合わせて、漢字を無理やり当てはめました。実際の漢字の意味とは全く関係ありません。 |
起目粒 | オコメツブ | 「お米粒」という日本語を漢字で表現しようとして、音だけを合わせて難しい漢字を当てました。 |
夜露死苦 | ヨロシク | 暴走族などがよく使う当て字で、「よろしく」という挨拶を物騒な漢字で表現したものです。 |
馬剃天愛星 | ティアラ | 「ティアラ」という外国語を無理やり日本の漢字に当てはめて作った名前です。漢字本来の意味は考慮されていません。 |
朱志香 | ジェシカ | 西洋風の名前「ジェシカ」の音に合わせて、日本の漢字を当てはめて作られた名前です。 |
読みを途中で切って読ませる
漢字の意味を残しながらも、特定の響きを作り出すために漢字の一部分のみを読ませます。キラキラネームでよく使われるタイプです。
「心愛(ココア)」では「心(こころ)」と「愛(あい)」の最初の部分だけを取っています。「雪華綺晶(キラキショウ)」のように、「雪花菜(きらず)」を分解して複雑な当て字にする例もあります。
戦前からある「人名訓」という用法の延長線上にありますが、極端な当て字がDQNネーム扱いされているのです。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
心愛 | ココア | 「心(こころ)」と「愛(あい)」の漢字から、最初の部分だけを取って「ココア」と読ませています。 |
凛月 | リツ | 「凛(りん)」と「月(つき)」の最初の音だけを取って「リツ」と読ませる名前です。 |
美心 | ミコ | 「美(み)」と「心(こころ)」の最初の部分だけを使って「ミコ」と読ませています。 |
雪華綺晶 | キラキショウ | 「雪花菜(きらず)」を分解して「雪(き)」「華(ら)」「綺(き)」「晶(しょう)」と当てはめました。 |
歌唄 | ウタ | 「歌(うた)」と「唄(うた)」の最初の部分だけを取って「ウタ」と読ませる工夫をしています。 |
外国語に変換
漢字を外国語で読ませるタイプです。「愛(あい)」を「ラブ」、「刃(やいば)」を「ブレード」と読ませたりします。
「業(カルマ)」のようにサンスクリット語や、「醤(ジャン)」のように中国語で読ませる例もあります。ひどい場合だと、外国語への変換が間違っていることもあるのです。
親の出身地が漢字文化圏の場合、母国の発音で読ませることもあるため、一概に批判できません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
業 | カルマ | 日本語の「業(ごう)」をサンスクリット語の「カルマ」と読ませています。同じ意味ですが言語が違います。 |
醤 | ジャン | 「醤(しょう)」という漢字を中国語の読み方「ジャン」で読ませています。 |
天馬 | ペガサス | 「天馬(てんば)」という日本語を英語の「ペガサス」と読ませています。どちらも翼のある馬を意味します。 |
海夢 | マリン | 「海夢(かいむ)」の「海」部分を英語の「マリン」と読ませて、「夢」の部分は読まない名前です。 |
月 | ルナ | 「月(つき)」をラテン語の「ルナ」と読ませています。どちらも月を意味する言葉です。 |
本来の読み方と関係ありそうでない
連想ゲームによって読み方を決めるタイプです。「響(キョウ、ひびき)」を「おと」「ね」と読ませたり、「蝶結」と書いて「りぼん」と読ませたりします。
「千桜(チハル)」では桜から「春」を連想し、「星空(ナサ)」ではNASAから「星空」を連想して読み方を決めています。発想の飛躍が大きいほど、理解しにくい名前になってしまうわけです。
「小鳥遊(たかなし)」などの複雑な名字もありますが、名前の場合は突飛な発想のものは受け入れがたいのが現状です。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
千桜 | チハル | 「桜」から春を連想して、「千桜」を「チハル」と読ませています。桜と春の季節的なつながりを利用しています。 |
臨也 | イザヤ | 「臨む」という意味から「いざ」を連想して、「臨也」を「イザヤ」と読ませています。 |
星空 | ナサ | 「NASA」から宇宙、そして星空を連想して「星空」を「ナサ」と読ませる発想で作られました。 |
緑輝 | サファイア | 緑色に輝く宝石から連想して「緑輝」を「サファイア」と読ませていますが、本来サファイアは青い宝石です。 |
光輝 | オーロラ | オーロラが夜空で光り輝く様子から連想して「光輝」を「オーロラ」と読ませています。 |
人名として不適切な単語
明らかに人名に適さない字や、同音異義語で不適切な意味になる名前があります。「悪魔ちゃん命名未遂騒動」で注目を集めたタイプです。
「凶死郎(キョウシロウ)」のように物騒な字を使ったり、「心太(シンタ)」のように一見普通でも「ところてん」を意味する例などがあります。
親の無知や知識不足によって、結果的に意図しない意味になってしまうケースも少なくありません。
病魔に悟られないための”げんかつぎ”として、あえて不吉な名前を付ける文化もありますが、現代では理解されにくいです。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
凶死郎 | キョウシロウ | 「凶」や「死」など、人名には適さない不吉な漢字を組み合わせて作った名前です。 |
心太 | シンタ | 一見普通に見えますが「心太」は「ところてん」を意味する言葉でもあります。気づかずに付けてしまったパターンです。 |
海月 | ミヅキ | 「海月」は「クラゲ」を意味する言葉でもあります。美しい響きですが、実は海の生き物の名前でもあります。 |
憂鬱 | ユウウツ | 「憂鬱」という悲しい気持ちを表す言葉をそのまま名前にしてしまった例です。 |
尊大 | ソンダイ | 「尊大」は傲慢という意味の言葉で、人名としては適さない性格を表す言葉です。 |
名前と性別が一致しない
中性的な名前のレベルを超えて、明らかに性別と合わない名前を付けるタイプです。マッチョそうな名前を女の子に付けるパターンが典型例です。
「竜之介(リュウノスケ)」を女性に付けたり、「銀兵衛(ギンベエ)」のような武士の名前を女の子に付けたりする例もあります。
ただし、名前が男らしくても、男として育てるわけでもなく、普通に女の子として扱っているケースが多いです。
外国の人名を音の響きだけで付けた結果、本来の性別と合わなくなってしまうパターンもあります。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
竜之介 | リュウノスケ | 男性的な響きの強い名前を女の子に付けてしまった例です。親が男の子を望んでいたことが理由です。 |
凛月 | リツキ | 「凛」という字は凛々しい男性をイメージさせますが、女の子に付けられた名前です。 |
誠士郎 | セイシロウ | 完全に男性の名前ですが、実際は女性に付けられています。育ての親が性別を勘違いしていました。 |
銀兵衛 | ギンベエ | 武士のような男性的な名前を女の子に付けて、男として育てられた例です。 |
当麻 | トウマ | 一般的には男性に多い名前ですが、女性に付けられることで性別の混乱を招きます。 |
極端に長い
落語の「寿限無」を真似て、異常に長い名前を付けるタイプです。漢字で5〜6文字はまだマシな方で、名前が文章になっているものもあります。
「ルーシー貴美子」のように、名前の候補を全部付けたり、「ビチグソ丸」のように寿限無をパロディにした例もあります。書く手間を考えると、虐待と捉えられる可能性が高いです。
フィクションではよく見かけますが、日本での実例はそれほど多くありません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
ルーシー貴美子 | ルーシーキミコ | 名前の候補をいくつも考えた結果、全部を組み合わせて一つの長い名前にしてしまいました。 |
ビチグソ丸 | ビチグソマル | 落語の「寿限無」を参考にして、とても長い名前を付けてしまった例です。 |
ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシン | ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシン | 読者アンケートで決まった名前で、あまりにも長くて覚えられない極端な例です。 |
夏春都 | ゲパルト | ドイツ語の「チーター」を意味する言葉を漢字で長々と表現した名前です。 |
憂鬱 | ユウウツ | 「憂鬱」という複雑な漢字をそのまま名前にした例で、書くのが大変な名前です。 |
仰々しすぎる
「神」「王」「天才」など、極端に強い(偉い)存在を示す名前です。子どもへの過度な期待に由来するもので、将来子どものプレッシャーになりかねません。
「帝人(ミカド)」「帝督(テイトク)」のように皇帝を連想させる字を使ったり、「ロイヤル」のように王室を意味する言葉を使ったりします。
子供の成功を願う気持ちが行き過ぎた結果です。「姫」は現代でも使われるため、比較的受け入れられますが、度が過ぎると問題視されます。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
帝人 | ミカド | 「帝(みかど)」という天皇を意味する字を使って、とても偉い人のような名前にしました。 |
帝督 | テイトク | 「帝(てい)」と「督(とく)」という偉い人を表す漢字を組み合わせて作った名前です。 |
ロイヤル | ロイヤル | 英語で「王室」を意味する言葉をそのまま名前にして、王様のような特別感を演出しています。 |
王子 | オウジ | 「王子様」という特別な立場を表す言葉をそのまま名前にしてしまった例です。 |
世界 | セカイ | 「世界」という壮大すぎる言葉を名前にして、大きな存在になってほしいという願いを込めています。 |
複数の名前を合体
複数人の名前を並べると、一つのネタになるタイプです。「血縁関係がわかりやすい」とポジティブに捉える人もいれば、「名前で遊んでいる」と批判的に見る人もいます。
「あい・まい・みい」は英語の一人称(I・My・Me)を三姉妹に付けた例です。
「どれみ・ぽっぷ」のように音楽用語で統一したり、「こころ・あると・いいな」で「心在ると良いな」という文章にしたりします。
弟や妹が生まれる前提で名前を付けることになるため、基本的には創作ならではの命名法です。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
あい、まい、みい | アイ、マイ、ミイ | 英語の「I(私)」「My(私の)」「Me(私を)」を三姉妹の名前にして、セットでネタになるようにしました。 |
どれみ、ぽっぷ | ドレミ、ポップ | 音楽の「ドレミ」と「ポップス」から取って、姉妹の名前を音楽用語で統一しました。 |
こころ、あると、いいな | ココロ、アルト、イイナ | 三姉妹の名前を組み合わせると「心在ると良いな」という文章になるように名付けました。 |
みこと、ことみ | ミコト、コトミ | 姉妹の名前が互いのアナグラム(文字の並び替え)になるように工夫して付けた名前です。 |
ダイヤ、ルビィ | ダイヤ、ルビィ | 宝石の名前で姉妹を統一しつつ、海鮮の隠語(マグロとイクラ)も意味する二重の意味を持たせています。 |
名前と苗字の合体
フルネームで読むと一つの言葉になるタイプです。ありふれた苗字と名前の組み合わせでも、フルネームでは珍しくなります。
「月野うさぎ(ツキノウサギ)」では、月とうさぎの組み合わせで日本の伝説を表し、「香風智乃(コウフウチノ)」では「コーヒーチーノ」を連想させます。
「単なる偶然」と「ダジャレ」による意図がありますが、後者は特に批判されがちです。
結婚で改姓した結果、珍名になる場合もありますが、名付け親に責任はないため、DQNネームには含まれません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
夜空 | ヨゾラ | 「三日月夜空」でフルネームを読むと「ミカヅキヨゾラ」となり、夜空の美しさを表現した詩的な名前になります。 |
うさぎ | ウサギ | 「月野うさぎ」で月とうさぎの組み合わせになり、日本の月の伝説に登場するうさぎを表現しています。 |
智乃 | チノ | 「香風智乃」で「コウフウチノ」となり、「コーヒーチーノ」という飲み物を連想させる音の響きです。 |
理世 | リゼ | 「天々座理世」で「テデザリゼ」となり、フランス語の「テ・デ・リゼ」(お茶を飲む)を表現しています。 |
のび太 | ノビタ | 「野比のび太」で「ノビノビタ」という響きになり、のびのびと育ってほしいという願いを込めています。 |
名前をつけるゲームの主人公
ゲームで適当に付けられる名前のタイプです。本来の意味でのDQNネームには含まれませんが、特徴的なパターンがあります。
「ああああ」のような連打による手抜き名前や、「えにくす」のような会社名をそのまま使った例などもあります。
「おっ゜て」のように、ランダム生成によって正確な発音すら難しい名前が生まれることもあるのです。
最近では「エイト」「イレブン」など、ゲームのナンバリングをそのまま付けることも多くなっています。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
ああああ | アアアア | ゲームで名前を考えるのが面倒になって、適当にボタンを連打して作られた代表的な手抜き名前です。 |
えにくす | エニクス | ゲーム会社の「エニックス」の名前をそのまま主人公の名前にしたパターンです。 |
エイト | エイト | ゲームのナンバリング「8」をそのまま英語で名前にした、非常にシンプルな付け方です。 |
イレブン | イレブン | ゲームの番号「11」を英語にして、そのまま主人公の名前として使用した例です。 |
おっ゜て | オッテ | ランダム文字生成により偶然できた名前で、正確な発音すら困難な文字列になってしまいました。 |
人名とは思えない生物の名前
動物や食べ物、物の名前をそのまま人名にするタイプです。「めだか」「アラレ」「悟飯」のように、日常で使う言葉を名前にしてしまいます。
「きりん」「ぱんだ」のような動物名や、「ココア」のような飲み物名も該当します。日本では若い世代に増えてきている傾向があり、他の種類に比べると受け入れられやすいです。
ただし、学校で弁当の具と間違えられたり、動物扱いされたりするリスクは避けられません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
めだか | メダカ | 小さな魚の「メダカ」をそのまま人間の名前にしてしまった、動物の名前系の代表例です。 |
アラレ | アラレ | 和菓子の「あられ」を人名にしたもので、食べ物の名前を人につけてしまった例です。 |
悟飯 | ゴハン | 「ご飯」という食べ物の名前をそのまま人の名前にしてしまい、お弁当と間違えられることもあります。 |
きりん | キリン | アフリカの動物「キリン」をそのまま人の名前にしてしまった、動物系の名前です。 |
ぱんだ | パンダ | 中国の動物「パンダ」を人の名前にして、本人も名前に強い愛着を持っている例です。 |
極端に浮いている
家族や周りと比べて、一人だけ全く違う命名タイプです。他の兄弟が「太郎」「次郎」なのに、一人だけ「フェニックス」のような名前の場合が該当します。
「キャロン」のように家族全員が日本人名なのに一人だけ外国風だったり、「うさぎ」のように動物名で浮いていたりします。命名の一貫性がないため、目立ってしまうのです。
第一子で失敗して、第二子以降は普通の名前にするパターンもよく見られます。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
キャロン | キャロン | 家族が全員日本人の普通の名前なのに、一人だけ外国人のような名前で極端に浮いています。 |
夏春都 | ゲパルト | 他の家族は普通の日本人名なのに、一人だけドイツ語の当て字という特殊な名前になっています。 |
うさぎ | ウサギ | 家族の中で父は謙之、母は育子、弟は進悟と普通なのに、一人だけ動物の名前で浮いています。 |
鬼太郎 | キタロウ | 妖怪の世界では個人名を持つこと自体が珍しく、周りの妖怪たちとは違った存在として浮いています。 |
美虹 | ツツジ | 競輪選手の中で他の選手は普通の名前なのに、一人だけ特殊な当て字の読み方で浮いています。 |
著名人やキャラの名前
特定の有名人や架空のキャラクターを反映した名前です。尊敬する人物への憧れから付けられることが多いですが、時代と共に評価が変化するリスクがあります。
「太宰治(ダザイオサム)」のような文豪名や、「桃太郎(モモタロウ)」のような昔話の主人公名が該当します。「田中角栄くん改名裁判」のように、後から問題になった実例もありました。
ペンネームや芸名から取った場合は、特にDQNネームとみなされることが多いです。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
策伯符 | サクハクフ | 中国の歴史上の武将「孫策伯符」の名前をそのまま日本人の女子高生に付けてしまいました。 |
太宰治 | ダザイオサム | 有名な文豪「太宰治」の名前をそのまま現代人の名前として使用した例です。 |
桃太郎 | モモタロウ | 日本の昔話の主人公「桃太郎」の名前をそのまま現代の子供に付けてしまいました。 |
独歩 | ドッポ | 文豪「国木田独歩」のペンネームから取って、現代人の名前として使用した例です。 |
露伴 | ロハン | 明治時代の作家「幸田露伴」の名前を現代人に付けて、文学的な印象を与えようとしました。 |
特定の職業や立場の名前
職業名や役職名をそのまま名前にするタイプです。その分野で大成すれば良いのですが、別の道に進んだ場合はプレッシャーになりかねません。
「博士(ハカセ)」「校長(コウチョウ)」のような教育関係や、「妓夫太郎(ギュウタロウ)」のように職業が名前として定着してしまった例もあります。
「パパ」のように、呼び方がそのまま戸籍名になったケースもあります。将来の職業を限定してしまうため、慎重に考えないといけません。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
博士 | ハカセ | 「博士」という学術的な称号をそのまま名前にして、将来への期待を込めて付けられました。 |
校長 | コウチョウ | 学校の「校長」という役職名がそのまま本名になってしまった珍しい例です。 |
妓夫太郎 | ギュウタロウ | 遊郭での下働きを意味する「妓夫」という職業名が、いつの間にか本名として定着してしまいました。 |
パパ | パパ | 父親を意味する「パパ」という呼び方が、そのまま戸籍上の本名になってしまった例です。 |
海賊王 | カイゾクオウ | 「海賊王」という架空の称号を現実の人の名前として付けてしまった大胆な例です。 |
許容漢字を使用していない
法的に人名として使用が認められていない漢字を使うタイプです。戸籍法により、人名に使える漢字は限定されているため、受理されない場合があります。
「繪里子(エリコ)」のような旧字体や、「騏一郎(キイチロウ)」のような人名用漢字以外の字が該当します。
美しい字体への憧れから使われることが多いのですが、正式な手続きで問題となる可能性が高いです。現在では、常用漢字と人名用漢字の範囲内での命名が原則になっています。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
繪里子 | エリコ | 「絵」の旧字体「繪」を使用していますが、人名に使える漢字として認められていない字です。 |
騏一郎 | キイチロウ | 「騏」という馬を意味する漢字は人名用漢字として認められていないため、正式には使えません。 |
亞美 | アミ | 「亜」の旧字体「亞」を使用していますが、現在の人名用漢字には含まれていません。 |
國男 | クニオ | 「国」の旧字体「國」を使用していますが、人名用漢字としては認められていない字体です。 |
龍 | リュウ | 「竜」の異体字「龍」を使用する場合、人名用漢字の範囲を超えることがあります。 |
その他
上記のどれにも当てはまらない、音の響きやフィーリングだけで決めてしまった名前です。特に深い意味や由来はありません。
「ア太郎(アタロウ)」のようにただの記号に「太郎」を付けただけのものや、「むさえ(ムサエ)」のように「まみむめも」の順番で機械的に付けられたものがあります。
「咲(サキサキ)」のように、姓と名で同じ音にする安直な発想もありました。何も考えずに付けてしまった結果、後から問題になることが多いタイプです。
DQNネーム | 読み方 | DQNネームの付け方 |
ア太郎 | アタロウ | ただの記号「ア」に「太郎」を付けただけで、特に意味や由来のない適当な名前です。 |
むさえ | ムサエ | 「まみむめも」の順番に合わせて機械的に付けられた名前で、響きが不自然になってしまいました。 |
咲 | サキサキ | 姓と名が同じ音になるように「佐木咲」として、可愛いかなという安直な理由で付けられました。 |
紅豊 | ベニユタカ | 桜の品種名から取ったと思われますが、人名としては非常に変わった響きの名前です。 |
ポプ子、ピピ美 | ポプコ、ピピミ | 作品名に合わせて作られたメタ的な名前で、現実感のない記号的な命名です。 |
DQNネームに関してよくある質問

DQNネームについて、多くの方が抱える疑問や不安にお答えします。実際の影響やメリット・デメリットを解説し、正しい理解を深めておきましょう。
DQNネームだといじめられる?
DQNネームが原因でいじめの対象になってしまう可能性はあります。子どもは大人が思っている以上に名前の珍しさに敏感です。
特に小学校低学年の時期は、読めない漢字や聞き慣れない名前に対して疑問を示すため、無意識に傷つく場面も多いです。中学生や高校生になると、意図的に名前をからかってくる生徒も現れます。
ただし、いじめの責任は加害者にあり、名前を付けられた本人に非はありません。むしろ大切なのは、周りの大人がサポートして、名前の多様性について正しい理解を広めることです。
近年は学校でも多様性への理解が深まっていて、教育者の意識も変化しています。適切な指導により、名前の違いを個性として受け入れる環境作りが進んでいるのも事実です。
DQNネームだと就職が不利になる?
企業の採用活動において、DQNネームが不利になることはあります。一部の面接官や人事担当者が、書類選考で珍しい名前の応募者を落とすケースは、実際に報告されています。
DQNネームが就職で不利になってしまう背景にあるのは、「非常識な名前を付ける親はモンスターペアレントの可能性が高い」という偏見です。
本人の能力や人格とは関係なく、親の教養や常識を疑われてしまうという、不合理な判断が行われることがあります。
特に有名私立学校の受験では、子ども本人よりも親の常識を重視する傾向が強いです。「これから直しようがある子どもより、すでに手遅れな親の方を見ている」という考え方が根強く残っているのです。
しかし、名前による判断は明らかに不当な差別である上、多様性を重視する時代になっているため、企業側も名前だけで判断する古い価値観は徐々に見直されています。
DQNネームのメリットはある?
DQNネームはデメリットが多く指摘されていますが、メリットもあります。DQNネームの大きなメリットは、「個性の強さ」と「記憶の残りやすさ」です。
珍しい名前は一度覚えてもらえれば、相手の印象に強く残ります。ビジネスでは、名前を覚えてもらいやすいことが、人脈作りや営業活動において有利になる場合があります。
同姓同名の人と間違われる心配もないという、実用的なメリットもあります。
また、国際化が進む現代社会では、外国人にも覚えやすい名前であることもメリットの1つです。森鴎外が子どもたちに西洋風の名前を付けた理由も、「世界で通じる名前にしたい」という思いからでした。
ただし、DQNネームの読みにくさによる日常の不便さや、周りからの偏見などのデメリットと比較して、本当に大丈夫かどうかを慎重に検討する必要があります。
【まとめ】DQNネームについて

DQNネームはキラキラネームと違い、揶揄的なニュアンスが強く、織田信長や森鴎外のように、時代背景によって評価は大きく変わります。
現代では、医療現場での混乱や就活への悪影響が指摘される一方、記憶の残りやすさや国際性というメリットもあります。
最も重要なのは、名前を付けられた本人に責任はないということです。社会全体が多様性を受け入れ、名前による偏見や差別をなくしていく必要があります。
DQNネームについて正しく理解し、すべての子どもが自分の名前に誇りを持てる社会の実現を目指していきましょう。