2025年10月、世界一長い名前のギネス記録が更新されました。長い名前として「ピカソ」が有名ですが、新たな記録保持者の名前は比較にならないほどの驚異的な長さです。
この記事では、世界一長い名前を持つ人について、各国の名前の文化や法律まで、わかりやすく詳しく解説します。名前の奥深い世界を一緒に探検してみましょう。
- ピカソが世界一長い名前?
- 【最新】世界一長い名前
- 【過去】世界一長かった名前
- ギネス記録を超えていた名前
- 長い名前の外国人一覧
- 日本人で一番長い名前
- 長い名前の日本人一覧
- 日本人で一番長い苗字
- 長い名前の人が多い国
- 世界各国の人の名前事情
- 名前の長さに法的制限はある?
ピカソが世界一長い名前って本当?

ピカソの名前は非常に長いですが、世界一というわけではありません。
画家「パブロ・ピカソ」の洗礼名は、「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・クリスピン・クリスピニャーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・マリア・デ・ロス・レメディオス・アラルコン・イ・エレーラ・ルイス・イ・ピカソ」です。
ピカソの生まれ故郷であるスペイン南部のマラガ地方では、祖先の姓や名、親類縁者や聖人の名前を並べる命名の慣習があるため、非常に長い名前になりました。
ピカソの名前には、父親や祖父、代父などの親族や、尊敬する聖人たちの名が含まれています。
ただ、日常生活では長い名前を毎回呼ぶことはできないため、ピカソ本人も「パブロ・ピカソ」という短縮形で名乗っていたわけです。
ピカソの名前も十分に長いですが、実は世界にはさらに長い名前の人が存在します。
【最新】ギネス記録に登録されている世界一長い名前の人

現在の世界一長い名前のギネス記録保持者は、ニュージーランド出身のローレンス・ワトキンズさんです。フルネームは2253語で、すべて読み上げると約20分もかかります。
ギネス記録認定までの経緯
ワトキンズさんは1965年に誕生しましたが、当初の名前は「ローレンス・グレゴリー・ワトキンズ」という、ごく普通の長さでした。
転機となったのは、世界中のあらゆる記録を紹介するテレビ番組との出会いです。「世界一速い男性」や「世界一背の高い男性」など、数々の記録保持者に魅了されました。
しかし、ワトキンズさんは自身を「特別な才能もない普通の人」と表現しています。そこで考えたのが、「世界最長の名前を作り出す」という挑戦でした。
名前の創作期間は1ヶ月
新しい名前を決めるために、ワトキンズさんは丸1ヶ月を費やしました。当時勤務していたオークランド図書館で、様々な資料を調べ上げたそうです。
参考にした情報源は、ラテン語や古い英語の名前、有名人の名前、赤ちゃんの名付け本などを活用しました。
さらに、ニュージーランドの先住民マオリの辞書も参考にしています。ワトキンズさん自身はマオリ文化と直接の関係はありませんが、「この言葉を話す人たちを尊敬している」と語っています。
他にも、英国テレビ番組のキツネキャラクターの名前、サモアの名前、オリンピック金メダリストの名前も採用。日本の名前も3つ、中国の名前も2つ含まれています。
お気に入りは、「AZ2000」という名前だそうです。「AからZまで2000以上の名前がある」という意味を込めて作られました。
法廷闘争を経て正式認定
完成した名前を書面にするため、400ニュージーランド・ドル、日本円で約35,000円(2025年10月現在)を支払いました。タイプライターで打ち出された名前は、なんと6ページにも及びます。
1990年に正式な改名申請を行いましたが、道のりは簡単ではありませんでした。オークランド地裁は申請を認めたものの、登記所の段階で拒否されたのです。
「新しい名前にできる唯一の方法は、高等裁判所に持ち込むこと」と告げられたワトキンズさん。政府側に名前変更を却下できる法的根拠がなかったため、最終的に勝訴しました。
そして1992年3月、2310語で構成される世界最長の洗礼名として、ギネス記録に認定されたのです。
最新の記録更新内容
2025年9月、ワトキンズさんの名前が再カウントされる出来事がありました。その結果、語数が2310語から2253語に修正されています。
同時に、記録の分類も変更されました。従来の「世界最長の洗礼名」から「世界最長の個人名」へとカテゴリが変わったのです。
57語の減少は誤差の範囲かもしれませんが、30年以上前のタイプライターでの作業ミスが含まれていた可能性も考えられます。それでも、世界一長い名前という事実に変わりはありません。
ニュージーランドの法改正
ワトキンズさんの記録に関する高等裁判所の判決を受けて、ニュージーランドは名前に関する法律を改正しました。
現在では、文字や記号などを含めて70文字を超える名前は使用できません。つまり、ワトキンズさんの記録は、もう二度と破られることのない永久記録となったわけです。
【過去】ギネス記録に登録されていた世界一長い名前の人

以前までギネス記録に認められていた一番長い名前は、ウルフさんという方で、全746文字の名前です。
ドイツからアメリカのフィラデルフィアに移民したウルフさんは、1904年生まれ。1997年に亡くなるまでギネス記録を保持していた植字工でした。
フルネームは「アドルフ・ブレイン・チャールズ・ディヴィット・アール・フレデリック・ジェラルド・ヒューバート・アーヴィン・ジョン・ケネス・ロイド・マーティン・ネロ・オリヴァー・ポール・クインシー・ランドルフ・シャーマン・トーマス・アンカス・ヴィクター・ウィリアム・クセルクセス・ヤンシー・ゼウス・ウルフシュレーゲルスタインハウゼンベルガードルフフォラルテンワレンゲウィッセンハフトシャフェルスウェッセンシャフェワレンウォールゲプフレゲウントゾルグファルチヒカイトベシュツェンフォンアングライフェンドゥルヒイーラウブゲーリグフェンデウェルヒフォラルテルンツォルフタオセントヤーレスフォランデーエルシェイネンワンデルエステールデンエンシュデラウムシフゲブラウヒフリフトアルスザインウァシュプルンクフォンクラフトゲスタルトザインランゲファールトヒンツウィッシェンステイナルチグラウムアウフデアズーヘンアッハディエステルンウェルヒゲハープトベウォーンバルプラネテンクレーゼドレーエンジヒウントウォヒンデアノイラッセウォンウェルスタンディグメンシュリックカイトコンテフォルツプランツェンウントジフエルフロイエンアンレベンスラングリフフロイデウントルーエミツニヒツアインフルヒトフォアアングライフェンフォンアンデラーインテリゲントゲショプスフォンヒンツウィッシェンステルナルトグラウメン・シニア」です。
AからZまで、それぞれのアルファベットで始まる26の名前の後に598文字からなる苗字、最後に「シニア」が付いて、英語表記で合計746字になります。
あまりに長すぎるため、日常では「ヒューバート・B・ウルフ+585・シニア」といった略称で呼ばれていたそうです。585という数字は、名字の一部に続くアルファベットの数を表しています。
フルネームを書くだけでも大変ですし、覚えることも困難でしょう。出生証明書や公的書類には、この長い名前が全て記載されていたのですから、本人も周囲の人も苦労したに違いありません。
ギネス記録を超えていた世界一長い名前の人

実はギネス記録を超える、さらに長い名前の人物が存在していました。1984年生まれのジェイミー・ウィリアムズさんは、1019文字もの名前で、「世界一長い名前を持つ女性」と呼ばれています。
フルネームは「Rhoshandiatellyneshiaunneveshenkescianneshaimondrischlyndasaccarnae renquellenendrasamecashaunettethalemeicoleshiwhalhinive’onchellecaundenesh eaalausondrilynnejeanetrimyranaekuesaundrilynnezekeriakenvaunetradevonneya vondalatarneskcaevontaepreonkeinesceellaviavelzadawnefriendsettajessicanneles ciajoyvaelloydietteyvettesparklenesceaundrieaquenttaekatilyaevea’shauwneorali aevaekizzieshiyjuanewandalecciannereneitheliapreciousnesceverroneccalovelia tyronevekacarrionnehenriettaescecleonpatrarutheliacharsalynnmeokcamonaeloies alynnecsiannemerciadellesciaustillaparissalondonveshadenequamonecaalexetiozetia quaniaenglaundneshiafrancethosharomeshaunnehawaineakowethauandavernellchishankcarl inaaddoneillesciachristondrafawndrealaotrelleoctavionnemiariasarahtashabnequcka gailenaxeteshiataharadaponsadeloriakoentescacraigneckadellanierstellavonnemyiat angoneshiadianacorvettinagodtawndrashirlenescekilokoneyasharrontannamyantoniaaquin ettesequioadaurilessiaquatandamerceddiamaebellecescajamesauwnneltomecapolotyoajohny aetheodoradilcyana」です。
ウィリアムズさんの出生証明書に記された名前は、60cm以上にもなっていたといいます。本人は自分の名前を覚えるために、テープに録音して何度も繰り返し聞いたそうです。
それでも日常生活では覚えきれないため、周囲からは「ジェイミー」という略称で呼ばれていたとのこと。
ただし、当時のギネス世界記録に正式登録されていたのはウルフさんであり、ジェイミーさんの名前はギネスに認定されていませんでした。
テレビ番組で紹介されたことはあっても、公式な記録としては扱いが異なるようです。
長い名前の外国人一覧

世界には驚くほど長い名前の人が実在しています。歴史上の人物から現代の著名人まで、文化や宗教、家系の伝統によって、長い名前が付けられてきました。
ここでは、特に有名な長い名前の外国人を紹介します。
モーツァルト
音楽家モーツァルトの本名は「ヨハン・クリュソストムス・ヴォルフガングス・テオフィルス・モーツァルト」といい、洗礼名として付けられた長い名前でした。
一般的には「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」として知られています。アマデウスは、テオフィルスのラテン語訳です。
クリスティアーノ・ロナウド
ポルトガルのサッカー選手クリスティアーノ・ロナウドの正式名称は「クリスティアーノ・ロナウド・ドス・サントス・アヴェイロ」という、25文字の名前です。
ポルトガルの命名習慣により、母方と父方の姓を組み合わせています。スポーツ選手の中でも、かなり長い名前です。
日本人で一番長い名前とは?

日本人の名前では、奈良県にある建設会社の社長「藤本太郎喜左衛門将時能(ふじもとたろうきざえもんのしょうときのり)」さんが、日本で一番長い名前の人物として有名です。
藤本太郎喜左衛門将時能さんの名前は、漢字で12文字あります。読み仮名にすると17文字。
日常的には、短くした名前で呼ばれることが多いと思いますが、公的書類や契約書などでは、長い名前を全て書かないといけません。
長い名前の日本人一覧

他にも、驚くほど長い名前の日本人がいます。実在が確認されている長い名前の日本人を、下記で紹介します。
野田江川富士一二三四五左衛門助太郎さん
江戸時代に実在したとされる人物で、読み仮名にすると26文字。日本最長クラスの名前になります。
数字の一二三四五が名前に含まれているのが特徴的です。明治時代以前の命名習慣を示す貴重な例といえます。
沢井麻呂女鬼久壽老八重千代子さん
女性で18文字という長い名前の人物です。昭和初期に実在が確認されています。
長寿を願う意味が込められた名前と考えられ、当時の命名文化を反映しています。
燕東海林太郎兵衛宗清さん
読み仮名で23文字という長さの名前の人物です。東北地方に実在した記録が残っています。
武家社会の影響を受けた命名と考えられ、役職名や通称が組み合わされた形式です。江戸時代の武士階級では、長い名前が珍しくありませんでした。
日本人で一番長い苗字とは?

日本で一番長い苗字は、漢字5文字。実在が証明されている中で最長の苗字は、「勘解由小路(かでのこうじ)」と「左衛門三郎(さえもんさぶろう)」の2つです。
勘解由小路という苗字
勘解由小路は藤原氏日野流烏丸家の分家で、公家の苗字のため、京都にある勘解由小路という地名に由来しています。
読み方は「かでのこうじ」で7文字です。平安京の役所名が地名となり、それが苗字として受け継がれたという歴史があります。現在では、四国地方にお住まいの方が多いです。
左衛門三郎という苗字
左衛門三郎は埼玉県に実在する苗字で、朝廷の左衛門府という役所に勤めた三郎という人物の子孫が名乗ったものと考えられています。
読み方は「さえもんさぶろう」で8文字となり、読みでは左衛門三郎のほうが長いです。全国で約10人しかいない珍しい苗字になります。
長い名前の人が多い国とは?

長い名前の人が多い国は、スペインやポルトガルなどのヨーロッパ諸国です。
特にスペインでは、父方と母方の両方の姓を受け継ぐ習慣があるため、名前が自然と長くなるのです。個人名に加えて、父方の第一姓と母方の第一姓の3つの要素で構成されています。
スペインの名前の特徴
スペインでは「名前+父方の姓+母方の姓」という構成が一般的です。
たとえば、名前が「ホセ・ガルシア・ロドリゲス」なら、ホセが個人名、ガルシアが父方の姓、ロドリゲスが母方の姓になります。
結婚しても姓は変わらないため、子どもには両親の姓が受け継がれていきます。つまり、世代を重ねても家系のつながりが名前からわかるわけです。
さらに、聖人や親族の名前を加える地域もあり、ピカソのような長い名前が生まれました。マラガ地方などでは、先祖への敬意や信仰を示すため、複数の名前を組み合わせる伝統もあります。
ポルトガルの名前の特徴
ポルトガルにもスペインと似たような名前の文化があります。ただし、スペインとの違いとしては、母方の姓が第一姓、父方の姓が第二姓となるのが特徴です。
たとえば、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドも、正式には「クリスティアーノ・ロナウド・ドス・サントス・アヴェイロ」というフルネームになります。
ポルトガル語圏でも、複数の姓を組み合わせることで名前が長くなるのです。
世界各国の人の名前事情・傾向

世界各国の名前には、それぞれの文化や歴史を反映した特徴があります。名前の構成や長さは国によって大きく異なり、文化的背景や宗教などが深く関わっているのです。
欧米圏の名前の傾向
英語圏では「ファーストネーム+ミドルネーム+ラストネーム」という構成が一般的です。ミドルネームには、祖父母の名前や洗礼名を入れることが多いです。
ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国でも、複数の名前を持つ習慣があります。特にドイツでは、聖人の名前や家族の名前を組み合わせることが伝統的に行われてきました。
アジア圏の名前の傾向
中国や韓国、ベトナムなどの漢字文化圏では、姓が先に来て、名が後に来る構成です。中国では姓が1文字、名が1〜2文字という短い名前が主流となっています。
日本の名前も世界的にみると短く、姓名合わせて4〜6文字程度が一般的です。ただし、歴史的には武士階級などで長い名前を持つケースもありました。
アラブ圏の名前の傾向
アラブ圏では「個人名+父の名+祖父の名+家名」という長い構成が伝統的です。イスラム教の影響で、預言者ムハンマドにちなんだ名前も多く見られます。
アラビア語の名前には、「アブドゥッラー(神のしもべ)」のように、宗教的な意味を持つものが多いです。
人の名前の長さに法的制限はある?

日本では名前の長さに法的な制限はありませんが、使用できる文字には規定があります。国外では、名前に関する法律は様々です。
日本の名前に関する法律
日本では戸籍法により、名前に使える文字が定められています。常用漢字、人名用漢字、ひらがな、カタカナのみが使用可能です。
文字数の上限は法律で定められていません。しかし、あまりに長い名前は役所で受理されない可能性もあります。実際には、常識的な範囲内で命名されるケースがほとんどです。
2024年の戸籍法改正により、名前の読み方にも一定の制限が加わりました。極端な当て字や読めない名前は認められません。
諸外国の名前に関する規制
各国で名前に関する法律は大きく異なります。ドイツでは性別が明確にわかる名前でなければならず、子どもにとって不利益となる名前は禁止です。
デンマークでは政府が承認した約7000の名前リストから選ぶ必要があり、リスト外の名前は特別な許可が必要となります。アイスランドも同様に、承認された名前のリストがあります。
一方、アメリカやイギリスでは名前の自由度が高く、文字数の制限もほとんどありません。ただし、記号や数字の使用は州によって規制されている場合があります。
【まとめ】世界一長い名前

世界一長い名前について、海外と日本の事例を詳しく見てきました。ギネス世界記録の2253語という驚異的な長さ、名前の世界は実に奥深いものです。
日本では「藤本太郎喜左衛門将時能さん」の23文字が最長クラスで、苗字では「勘解由小路」と「左衛門三郎」の漢字5文字が存在します。
スペインやポルトガルなど、複数の姓を受け継ぐ文化を持つ国では、長い名前が一般的です。各国で名前に関する法律も異なり、文化や宗教が深く反映されています。
名前はただの記号ではなく、その人の背景や家系、願いが込められた大切なもの。この記事が、世界の名前文化を知るきっかけになれば幸いです。